こどもNISAとは?2026年改正で何が変わったのか
こどもNISAの基本概要
「こどもNISA」は、2027年1月1日から始まる0歳〜17歳の未成年を対象にした新しい非課税投資制度です。2026年度税制改正(令和8年度税制改正)により正式に創設が決定し、現在の「つみたてNISA」「新NISA」のつみたて投資枠と同じ仕組みをベースに、子どもの教育資金形成を後押しします。
2023年末に廃止となったジュニアNISAの後継制度として位置づけられており、ジュニアNISAの最大の欠点だった「18歳まで払い出し不可」という制約が大幅に緩和されています。出典:金融庁「令和8年度税制改正について」(2025年12月)
制度の主要スペック一覧
| 項目 | こどもNISA | (参考)ジュニアNISA |
|---|---|---|
| 開始・終了 | 2027年〜無期限 | 2016〜2023年(廃止) |
| 対象年齢 | 0〜17歳(18歳になる年の12月31日まで) | 0〜17歳 |
| 年間投資枠 | 60万円 | 80万円 |
| 非課税保有限度額 | 600万円 | 400万円(5年×80万円) |
| 非課税期間 | 無期限 | 5年(ロールオーバー必要) |
| 投資対象 | つみたて枠対象の投資信託のみ | 上場株式・ETF・投信 |
| 払い出し制限 | 12歳以降は条件付きで可能 | 18歳まで原則不可 |
| 18歳以降 | 通常NISAへ自動移管 | ロールオーバー or 払出手続き |
※2026年時点の法令・金融庁公表資料に基づきます。政令・省令の詳細は2026年中に確定予定です。
2026年改正の逐条解説|3つの重要ポイント
①年間60万円・総額600万円の非課税枠
こどもNISAの年間投資枠は60万円、非課税保有限度額(総枠)は600万円です。ジュニアNISAの年間80万円・総額400万円と比べて、年間投資額は少なくなりましたが、総額上限は200万円増加しています。
年間60万円という設計は、毎月5万円の積立で使い切れる金額です。0歳から始めれば10年で600万円の非課税枠を使い切る計算になります。ただし、使い切れなかった枠は翌年に繰り越せません。出典:金融庁「令和8年度税制改正大綱解説」
②12歳以降の払い出し条件と必要書類
こどもNISAの大きな改善点が、12歳以降は条件付きで払い出し可能になったことです。ジュニアNISAでは18歳まで一切引き出せなかった(例外的に非課税解除で引き出しは可能だったが非課税が失効する)ため、資金の拘束感が強く普及しませんでした。
払い出しに必要な条件は以下のとおりです:
- 資金の使途が子どものためであること(教育費・生活費等)
- 子どもが払い出しに同意した旨を示す書面の提出
- 親権者等(口座管理者)が申出書を金融機関に提出
なお、12歳未満でも病気・災害などやむを得ない場合は払い出しが認められる方向で調整が進んでいます(詳細は2026年中に政令で確定予定)。
③18歳以降は通常NISAへ自動移管・非課税期間は無期限
こどもNISAで運用した資産は、子どもが18歳になった年(2027年以降は翌年以降)に通常のNISAつみたて投資枠へ自動移管されます。ジュニアNISAのような煩雑なロールオーバー手続きが不要で、そのまま非課税で運用を続けられます。
18歳以降は成人NISAの年間投資枠(つみたて枠120万円+成長投資枠240万円)が別途使えるようになるため、資産形成の連続性が保てます。
関連:NISA 2026年改正のポイント3選|つみたて枠の変更点
こどもNISA独自シミュレーション|開始年齢別の資産予測
前提条件と試算の見方
以下のシミュレーションは、毎月5万円(年間60万円)を積み立て、年率4%の複利運用を仮定した独自試算です。実際の運用利回りは変動し、元本割れのリスクがあります。投資判断は必ずご自身でご確認ください。
- 運用利回り:年4%(eMAXIS Slim全世界株式の直近10年の年換算リターン参考値)
- 積立金額:毎月5万円(年間60万円・満枠活用)
- 税率:NISA口座のため0%(課税口座なら運用益に約20.315%課税)
- シミュレーションは税引後の概算値であり、将来の運用成果を約束するものではありません
開始年齢別シミュレーション結果
| 開始年齢 | 積立期間 | 積立元本 | 運用後資産(年4%) | 非課税メリット(※) |
|---|---|---|---|---|
| 0歳(出生時) | 18年 | 1,080万円 | 約1,581万円 | 約102万円 |
| 3歳 | 15年 | 900万円(総枠上限600万円適用) | 約1,260万円 | 約82万円 |
| 5歳 | 13年 | 780万円(総枠上限600万円適用) | 約1,105万円 | 約66万円 |
| 7歳 | 11年 | 600万円(満枠) | 約912万円 | 約64万円 |
| 10歳 | 8年 | 480万円 | 約633万円 | 約31万円 |
| 12歳 | 6年 | 360万円 | 約453万円 | 約19万円 |
※非課税メリット:運用益に20.315%の課税が発生した場合との差額(概算)。元本割れリスクがある点と、利回りは保証されない点に注意してください。
ポイント:0歳から始めると18年で約1,581万円に。課税口座なら運用益に約20%課税されるため、NISA活用で約102万円分の税負担を回避できる計算です。ただし、これは年4%の運用が継続した場合の試算であり、市場環境によっては元本を下回る可能性があります。
ジュニアNISAとの違い|失敗から学んだ制度設計
ジュニアNISAが廃止された理由
ジュニアNISAは2023年末で廃止されました。最大の理由は利用率の低さです。18歳まで引き出せない資金拘束と、5年ごとのロールオーバー手続きの煩雑さが嫌われ、制度発足から口座数が伸びませんでした。
こどもNISAはこの反省を踏まえ、払い出し制限の大幅緩和と非課税期間の無期限化を実現しました。ただし、年間投資枠はジュニアNISAの80万円から60万円に縮小されています。
学資保険との比較|どちらを選ぶか
| 比較項目 | こどもNISA | 学資保険 |
|---|---|---|
| 元本保証 | なし(元本割れリスクあり) | あり(保険料の払込完了後) |
| 期待リターン | 年3〜6%(市場連動) | 年0.2〜0.5%(返戻率103〜106%程度) |
| 柔軟性 | 高い(12歳以降払出可) | 低い(中途解約は元本割れ) |
| 税制 | 運用益は完全非課税 | 一時所得として課税対象 |
| 死亡保障 | なし | あり(保護者死亡時に払込免除) |
| 向いている人 | リスクを許容でき長期運用できる人 | 確実に教育資金を確保したい人 |
結論として、元本割れリスクを許容でき18年以上の長期運用ができるなら、期待リターンの高いこどもNISAが有利です。ただし投資のリスクを十分理解し、最終的な判断はご自身でお願いします。
こどもNISAの開設手順と注意点
口座開設に必要なもの
こどもNISAは2027年1月から開始予定で、各証券会社が2026年後半から口座開設受付を始める見込みです(2026年6月現在、詳細は各社公表待ち)。開設には以下が必要になる見込みです:
- 子どものマイナンバー(出生後に発行された番号)
- 子どもの本人確認書類(マイナンバーカードまたは住民票)
- 親権者(口座管理者)の本人確認書類
- 親権者の証券総合口座(同じ証券会社に保護者の口座が必要な場合あり)
SBI証券・楽天証券・マネックス証券・松井証券はいずれも2027年制度開始に向けて準備中です。出典:SBI証券「こどもNISAとは?始め方と失敗しない考え方」、楽天証券「こどもNISAとは」、マネックス証券「こどもNISAとは」
2026年中にできる準備
制度開始は2027年1月ですが、今から以下の準備を進めておくと2027年からスムーズに始められます:
- 証券会社の選定:親自身がすでに使っている証券会社に子どもの口座を開設するのが手続き上簡単
- 積立金額のシミュレーション:家計から毎月いくら捻出できるか試算しておく
- 投資信託の候補を決める:eMAXIS Slim全世界株式やeMAXIS Slim米国株式(S&P500)など信託報酬0.1%以下の低コストファンドから選ぶのが基本
- マイナンバーカードの取得:子ども名義のカードを準備しておく
関連:こどもNISA いつから始まる?対象年齢・上限額を徹底解説
こんな人はこどもNISAを急ぎすぎるな|逆説的アドバイス
こどもNISAを優先すべきでないケース
「子どもが生まれたらすぐこどもNISAを始めるべき」という声がありますが、以下の状況では慎重な判断が必要です。最終的な投資判断はご自身でお決めください。元本割れのリスクがあります。
- 親自身のNISA・iDeCoを未活用の場合:親の非課税投資枠(年間360万円)を先に埋める方が、長期的な資産形成には優先順位が高いことが多い
- 緊急予備資金が3〜6ヶ月分未満の場合:投資資金は「当面使わないお金」が前提。生活防衛資金を確保してから始めるのが原則
- 教育資金が数年以内に必要な場合:12歳以降に払い出せるとはいえ、短期運用では元本割れリスクが高い。3〜5年以内に使う予定の資金は投資に回すべきではない
- 住宅ローン返済中で余裕資金がない場合:ローンの利率と運用期待利回りを比較し、繰り上げ返済との優先度を慎重に検討する
順番を守ることが大切
家計の優先順位は「①緊急予備資金の確保 → ②高金利負債の返済 → ③親のiDeCo・NISA → ④こどもNISA」が基本的な考え方です。こどもNISAは非課税メリットが大きい一方で、元本割れリスクを伴う長期投資であることを忘れないでください。
関連:NISA夫婦で活用する方法|世帯で非課税枠を最大化する戦略
まとめ|こどもNISA 2026年改正の要点
こどもNISA(2027年1月開始予定)の改正ポイントをまとめます:
- 年間60万円・総額600万円の非課税枠で、ジュニアNISAより総額が大幅拡大
- 12歳以降は払い出し可能(子の同意+親権者の申出書が必要)
- 18歳以降は通常NISAへ自動移管・非課税期間は無期限で手続き不要
- 投資対象はつみたて枠対象の投資信託のみ(長期・低コスト運用に特化)
- 0歳から始めた場合、年4%運用の独自試算で18年後に約1,581万円(元本割れリスクあり)
制度の詳細(対象商品の範囲・口座開設受付開始時期など)は2026年中に政令・省令で確定される予定です。最新情報は金融庁NISA特設ウェブサイトでご確認ください。
重要:本記事に掲載のシミュレーションは過去データや一定の前提に基づく試算であり、将来の運用成果を約束するものではありません。投資信託は元本割れのリスクがあります。最終的な投資判断はご自身の責任においてお決めください。

