2026年改正でNISAつみたて枠に債券・地域別ファンドが追加|追加商品と投資家への影響を解説

NISA・つみたて投資

2026年度税制改正により、NISAのつみたて投資枠(旧つみたてNISA枠)に、これまで対象外だった債券ファンド(公社債中心の投資信託)が新たに加わることになりました。2027年1月1日の施行に向け、運用会社各社が対応商品の登録を進めています。この記事では、追加される商品カテゴリの詳細と、投資初心者・慎重派の方への具体的な影響を解説します。

重要: 本記事の内容は、2025年12月19日に閣議決定された「令和8(2026)年度税制改正の大綱」(金融庁資料)に基づいています。施行は2027年1月1日からです。最終的な投資判断はご自身の責任で行ってください。投資信託には元本割れリスクがあります。

1. 今回の改正で「何が」変わるか――結論先出し

従来、NISAつみたて投資枠で購入できる投資信託は、「主に株式に投資するもの」という条件がありました。これが2027年1月1日から、「主に株式または公社債に投資するもの」に緩和されます。

これにより、以下の商品カテゴリが新たにつみたて投資枠で購入できるようになります(※金融庁による登録・審査が前提):

  • 債券型インデックスファンド(国内外の国債・社債に連動)
  • 債券比率50%超のバランスファンド(例:「株式30% + 債券70%」構成の商品)
  • 地域別ファンド(新たに指定対象となるもの)

また、国内株式指数についても、読売株価指数(読売333)JPXプライム150指数が新たに指定指数に加わり、日本株の選択肢も広がります(出典:金融庁「令和8年度税制改正について」2025年12月)。

2. 改正の背景――なぜ債券ファンドが追加されたのか

つみたて投資枠は、長期・積立・分散投資を促進するために設けられた枠です。これまでは主に株式型ファンドが対象でしたが、政府・与党は以下の課題を踏まえて対象を拡充しました。

リスク許容度が低い層への対応

株式100%のファンドは価格変動が大きく、「怖くて踏み出せない」という投資初心者や高齢者が少なくありませんでした。債券比率の高いファンドを選択肢に加えることで、資産運用の入口を広げることが狙いです。

長期分散投資の多様化

株式と債券は一般に「逆相関」の傾向があるとされ、組み合わせることでポートフォリオ全体の価格変動を抑えられる場合があります。つみたて投資枠内だけで株式と債券を組み合わせられるようになり、分散投資の選択肢が広がります。

注意:「債券=安全」ではありません。金利上昇局面では債券価格が下落するリスクがあります。また外国債券ファンドには為替リスクも伴います。元本割れの可能性がある点は株式型と同様です。

3. 追加される商品カテゴリの詳細【比較・解説表】

以下の表は、2027年1月以降につみたて投資枠で購入可能となる見込みの商品カテゴリと、既存カテゴリとの比較です。

カテゴリ 株式比率目安 つみたて枠(2026年まで) つみたて枠(2027年1月〜) リスク水準目安
株式型インデックス(全世界・S&P500等) 約100% ○ 対象 ○ 対象(継続) 高め
バランス型(株式多め)(株70% + 債券30%等) 50〜80% ○ 対象(株式50%超のもの) ○ 対象(継続) 中〜高
バランス型(債券多め)(株30% + 債券70%等) 50%未満 ✕ 対象外 ★ 新たに対象に 低〜中
債券型インデックス(国内外の国債・社債連動) 0〜10%程度 ✕ 対象外 ★ 新たに対象に 低〜中
地域別ファンド(読売333・JPXプライム150連動等) 約100%(株式) 一部対象外 ★ 新指数として追加 中〜高

※表内の株式比率・リスク水準は一般的な目安であり、個別商品により異なります。出典:金融庁「令和8年度税制改正の大綱」(2025年12月)をもとに筆者作成

4. 投資家への実際の影響――条件つきシミュレーション

債券ファンドがつみたて投資枠に加わることで、投資家にはどのような選択肢が生まれるのか。以下のシミュレーションで具体的に確認してみましょう。

【独自シミュレーション】つみたて枠内の株債組み合わせ比較

前提条件(必ずご確認ください)

  • 毎月積立額:10万円(つみたて枠上限)
  • 積立期間:20年
  • 想定リターン:株式型=年率4%、債券型=年率1.5%(過去の長期平均を参考にした仮定値。将来のリターンを保証するものではありません)
  • 税制:NISA非課税(利益に税金なし)
  • シミュレーションはあくまで「一定利率が継続した場合の参考値」です
ポートフォリオ構成 想定リターン(年率) 積立元本 20年後の評価額(参考) 2027年1月前に実現可否
株式100%(全世界株式) 約4.0% 2,400万円 約3,644万円 ○ 可能
株式70% + 債券30% 約3.25% 2,400万円 約3,356万円 ○ 可能(株式50%超)
株式30% + 債券70% 約2.25% 2,400万円 約3,019万円 ★ 2027年1月〜初めて可能
債券100% 約1.5% 2,400万円 約2,779万円 ★ 2027年1月〜初めて可能

※想定リターンは複利計算の参考値です。実際の運用成果は市場環境により大きく異なり、元本を下回る場合があります。表中の数値は筆者が計算した参考値です。投資の判断はご自身の責任で行ってください。

この表からわかるように、株式100%と比べると評価額は低くなる可能性がありますが、価格変動リスクを抑えながら非課税で運用できるという点が、慎重派の投資初心者にとっての意義です。「株式型は値動きが怖い」と感じる方が、つみたて投資枠を活用できる選択肢が広がります。

5. 投資初心者への具体的な影響と活用の考え方

影響①:「株式型しか選べない」制約がなくなる

これまで、つみたて投資枠を活用したい場合は株式型(またはバランス型でも株式比率50%超)しか選択肢がありませんでした。2027年1月以降は、自分のリスク許容度に合わせて、つみたて投資枠の中で株式と債券の配分を選べるようになります。

なお、すでに株式型ファンドを積み立てている場合は変更不要です。今後の新たな選択肢として検討できます。

影響②:成長投資枠との組み合わせ方が変わりうる

従来、「債券で守りを固めたい場合は成長投資枠を使う」という考え方もありました。今後はつみたて投資枠内でもリスクコントロールができるようになるため、つみたて枠と成長投資枠の使い分け戦略を改めて考える機会にもなります。

影響③:対象商品が増えるのは2027年1月以降

重要な点として、施行は2027年1月1日です。現時点(2026年6月)では、債券ファンドをつみたて投資枠で購入することはまだできません。対象商品として各運用会社が登録・審査を受け、金融庁が承認した商品から順次購入可能になる流れです。

現在の対象商品一覧は金融庁「つみたて投資枠対象商品」ページで随時更新されています。

6. 追加された地域別指数(読売333・JPXプライム150)とは

債券ファンドの追加と合わせて、つみたて投資枠で利用できる国内株式の指定指数にも2つの新指数が追加されます。

指数名 構成銘柄数 特徴 つみたて枠対象
TOPIX 約2,100銘柄 東証プライム市場全体 ○ 既存
日経平均株価 225銘柄 代表的な225社の株価平均 ○ 既存
JPX日経インデックス400 400銘柄 ROE等で選ばれた優良企業 ○ 既存
読売株価指数(読売333) 333銘柄 国際競争力のある企業を重視した指数 ★ 新たに追加
JPXプライム150指数 150銘柄 プライム市場上場企業からROEと株式価値創造力で選定 ★ 新たに追加

出典:金融庁「令和8年度税制改正について」(2025年12月)をもとに筆者作成

7. 注意点:2026年現在の状況と混同しないために

今回の改正は重要ですが、時系列の混同に注意が必要です。

  • 2025年12月:「令和8年度税制改正の大綱」が閣議決定
  • 2026年3月〜:関連税制法案の国会審議・成立
  • 2026年6月(現在):まだ施行前。つみたて投資枠で債券ファンドは購入できない
  • 2027年1月1日:施行。各社の対象商品が順次登録され、購入可能になる予定

「2026年の制度改正」という言葉が独り歩きしやすいですが、「つみたて枠で債券を買えるようになるのは2027年から」という点を押さえておきましょう。詳しい改正の全体概要は、NISA 2026年改正のポイント解説もあわせてご参照ください。

8. 改正を受けた資産配分の考え方(投資初心者向け)

「では、2027年から債券ファンドに切り替えるべきか?」と感じた方も多いかもしれません。慎重な考え方をご案内します。

今すぐ動く必要はない

現在すでに株式型インデックスファンドを積み立てている場合、それを急いで変更する必要はありません。インデックス投資の長期積立は、価格変動を「時間で分散」する方法であり、一時的な下落局面も積立を続けることで平均取得単価を下げる効果が期待できます(ただし、必ずしも利益が出ることを保証するものではありません)。

リスクを分散させたい場合の選択肢として考える

「株式型の値動きが不安で積立を続けられるか心配」という方にとっては、2027年以降、債券比率の高いファンドをつみたて投資枠内で選択できることが一つの解決策になり得ます。株式と債券を組み合わせた分散ポートフォリオの作り方を参考に、自分に合った配分を検討することも考えられます。

資産配分は個人の状況に合わせて判断する

最終的な資産配分の決定には、年齢・収入・投資経験・リスク許容度など個人の状況が大きく影響します。iDeCoとNISAを併用する場合の配分については、iDeCo 2026年改正まとめを確認のうえ、全体像を把握することをお勧めします。

まとめ

この記事のポイント整理

  • 2026年度税制改正で、NISAつみたて投資枠の対象商品要件が「株式」→「株式または公社債」に変更
  • これにより、債券型インデックスファンド・債券比率50%超のバランスファンドが新たに対象に
  • 国内株式の指定指数として読売333・JPXプライム150も追加
  • 施行は2027年1月1日。現時点(2026年6月)では未施行
  • 「つみたて枠で債券を買える=今すぐ変更すべき」ではなく、自分のリスク許容度に合わせた検討が重要
免責事項:本記事は制度の概要を解説するものであり、特定の金融商品・投資方法を推奨するものではありません。最終的な投資判断はご自身の責任で行ってください。投資信託(株式型・債券型を問わず)には元本割れのリスクがあります。制度の詳細は金融庁NISAページでご確認ください。
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