投資信託の複利効果は、長期の資産形成において大きな力を発揮します。「複利は人類最大の発明」とも言われますが、実際にどれほどの差が生まれるのか、具体的な数字で理解している人は意外と少ないのではないでしょうか。この記事では、投資信託における複利効果の仕組みから、20年間の積立シミュレーション、複利を最大限に活かすための具体的な方法まで、2026年最新の情報をもとに詳しく解説します。
投資信託の複利効果とは?単利との違いをわかりやすく解説
複利と単利の基本的な仕組み
複利とは、元本だけでなく、運用で得た利益にも利息がつく仕組みのことです。一方、単利は元本に対してのみ利息が計算されます。
たとえば、100万円を年利3%で運用した場合を比較してみましょう。
単利の場合:毎年3万円ずつ増え、10年後は130万円
複利の場合:利益が再投資されるため、10年後は約134万4,000円
10年で約4万4,000円の差ですが、この差は運用期間が長くなるほど加速度的に広がります。20年後には単利160万円に対し、複利は約180万6,000円と、20万円以上の差になります。
投資信託で複利効果が生まれる仕組み
投資信託では、運用で得た利益がファンド内で再投資されることで複利効果が発生します。特に無分配型(分配金を出さないタイプ)の投資信託は、利益をすべてファンド内で再投資するため、自動的に複利効果が働きます。
分配金が出るタイプの投資信託でも、分配金を再投資する設定にすれば同様の効果を得られます。ただし、分配金受取時に課税される場合があるため、税引き後の再投資額が小さくなり、無分配型と比べて効率が落ちる点に注意が必要です。
「72の法則」で複利の効果を簡単に計算
資産が2倍になるまでの期間は、「72 ÷ 年利(%)」で概算できます。これを「72の法則」と呼びます。
- 年利3%の場合:72 ÷ 3 = 約24年で2倍
- 年利5%の場合:72 ÷ 5 = 約14.4年で2倍
- 年利7%の場合:72 ÷ 7 = 約10.3年で2倍
このように、利回りが高いほど資産が倍増するまでの期間は短くなります。
20年間の積立シミュレーション|複利でいくら増える?
毎月1万円・3万円・5万円の積立シミュレーション
年利5%で20年間積立投資を行った場合のシミュレーション結果を見てみましょう。
| 毎月の積立額 | 20年間の元本 | 20年後の資産額 | 複利による利益 |
|---|---|---|---|
| 1万円 | 240万円 | 約411万円 | 約171万円 |
| 3万円 | 720万円 | 約1,233万円 | 約513万円 |
| 5万円 | 1,200万円 | 約2,055万円 | 約855万円 |
毎月3万円の積立でも、20年間で約513万円の複利効果が得られます。元本720万円に対して約71%の利益が上乗せされる計算です。
利回り別の資産推移を比較
毎月3万円を積み立てた場合の、利回り別の20年後の資産額を比較します。
| 年利 | 20年後の資産額 | 複利による利益 | 利益率 |
|---|---|---|---|
| 3% | 約985万円 | 約265万円 | 約36.8% |
| 5% | 約1,233万円 | 約513万円 | 約71.3% |
| 7% | 約1,563万円 | 約843万円 | 約117.1% |
年利3%と7%では、20年後に約578万円もの差が生まれます。長期運用では、わずかな利回りの違いが大きな資産差につながることがわかります。
複利効果を最大化する5つのポイント
できるだけ早く始めて長期間運用する
複利効果は運用期間が長いほど大きくなるのが最大の特徴です。10年と20年では、元本の差以上に複利効果の差が広がります。
たとえば、毎月3万円・年利5%で運用した場合、10年後の利益は約105万円ですが、20年後は約513万円と、運用期間が2倍で利益は約5倍に膨らみます。これが複利の「雪だるま式」と呼ばれるゆえんです。
「いつ始めるか」を迷うよりも、少額でもいいので今すぐ始めることが、複利効果を最大化する最も重要なポイントです。
分配金は再投資に回す
分配金を受け取ってしまうと、その分が運用に回らず複利効果が弱まります。分配金再投資コースを選ぶか、そもそも分配金を出さないタイプの投資信託を選ぶのがおすすめです。
eMAXIS Slimシリーズやたわらノーロードシリーズなど、人気のインデックスファンドの多くは無分配型で、効率よく複利効果を得られる設計になっています。
信託報酬の低い投資信託を選ぶ
信託報酬(運用管理費用)は毎日差し引かれるコストです。年率0.1%の差でも、20年間の運用では大きな影響を与えます。
| 投資信託 | 信託報酬(税込) |
|---|---|
| eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) | 年0.05775% |
| eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) | 年0.09372% |
| 楽天・全世界株式インデックス・ファンド | 年0.192% |
信託報酬が低いほど、運用益がそのまま再投資に回るため、複利効果を最大限に享受できます。
新NISAを活用して複利効果を非課税で最大化
新NISAの非課税メリットと複利の関係
通常、投資信託の運用益には約20.315%の税金がかかります。しかし、新NISAを利用すれば運用益が非課税となり、税金分も含めて再投資に回せるため、複利効果が最大化されます。
たとえば、20年間で500万円の利益が出た場合、課税口座では約101万5,750円が税金として差し引かれます。NISAならこの全額が手元に残るため、非課税のメリットは非常に大きいと言えます。
つみたて投資枠と成長投資枠の使い分け
2026年現在、新NISAの概要は以下のとおりです。
| 項目 | つみたて投資枠 | 成長投資枠 |
|---|---|---|
| 年間投資上限 | 120万円 | 240万円 |
| 非課税保有限度額 | 合計1,800万円(成長投資枠は1,200万円まで) | |
| 非課税保有期間 | 無期限 | |
| 対象商品 | 金融庁が定めた投資信託・ETF | 上場株式・投資信託など |
複利効果を重視するなら、まずはつみたて投資枠で低コストのインデックスファンドに積立投資するのが王道です。非課税保有期間が無期限になったため、20年以上の超長期運用でも安心して複利効果を享受できます。
なお、2026年度の税制改正では、つみたて投資枠の未成年への拡大や対象商品の拡充が正式に決定されており、NISAの利便性はさらに向上しています。
複利効果が期待できるおすすめ投資信託3選
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
世界約50カ国・約3,000銘柄に分散投資できるインデックスファンドです。信託報酬は年0.05775%(税込)と業界最低水準で、2026年4月時点の純資産総額は5兆円を超えています。
過去20年間の全世界株式指数(MSCI ACWI)の平均利回りは年6〜7%程度で推移しており、直近5年間の年率リターンは10%を超える好成績です。1本で世界中に分散投資できるため、長期の複利運用に最適な選択肢と言えます。
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
米国の代表的な株価指数S&P500に連動するインデックスファンドです。信託報酬は年0.09372%(税込)で、米国株インデックスファンドの中で最低水準です。
S&P500の過去20年間の平均利回りは約7.9%、30年間では約8.4%と安定した実績があります。米国経済の成長に連動するため、複利効果を活かした長期資産形成に向いたファンドです。
楽天・全世界株式インデックス・ファンド
楽天証券で特に人気の高い全世界株式ファンドです。FTSEグローバル・オールキャップ指数に連動し、先進国から新興国まで約9,000銘柄に投資できます。信託報酬は年0.192%(税込)と、オルカンよりはやや高めですが、小型株まで含む幅広い分散が特徴です。
複利効果に関するよくある疑問と注意点
複利効果はいつから実感できる?
複利効果は、運用開始から10年を超えたあたりで目に見えて大きくなるのが一般的です。最初の数年間は単利とほとんど差がないため、「本当に増えているのか」と不安になるかもしれません。
しかし、毎月3万円・年利5%の積立では、10年目の利益が約105万円なのに対し、15年目は約268万円、20年目は約513万円と後半になるほど急激に増加します。途中でやめずに継続することが、複利効果を実感するための最大のポイントです。
元本割れのリスクはないのか?
投資信託は元本保証の商品ではないため、短期的には元本割れのリスクがあります。しかし、過去のデータでは15年以上の長期運用で元本割れした期間はほぼ存在しないとされています(全世界株式や先進国株式の場合)。
金融庁のデータでも、20年間の積立投資では年平均2〜8%のリターンに収束しており、元本割れの確率は極めて低いことが示されています。複利効果を信じて長期で保有し続けることが大切です。
一括投資と積立投資、複利効果はどちらが高い?
理論上は、一括投資のほうが複利効果は大きくなります。運用に回る金額が早い段階で大きいためです。ただし、一括投資は購入タイミングによるリスクが高くなります。
積立投資は購入タイミングを分散できる(ドルコスト平均法)ため、高値掴みのリスクを軽減できます。まとまった資金がない場合や、投資初心者には毎月コツコツ積立投資をするほうが安定的に複利効果を得られる方法としておすすめです。
まとめ|投資信託の複利効果を味方につけて資産を増やそう
投資信託の複利効果は、長期間運用するほど大きな力を発揮します。今回のポイントを整理すると、以下のとおりです。
- 複利効果は「利益が利益を生む」仕組みで、運用期間が長いほど加速度的に資産が増える
- 毎月3万円・年利5%の積立で、20年後には約513万円の複利効果が期待できる
- 複利効果を最大化するには、早く始める・無分配型を選ぶ・信託報酬の低いファンドを選ぶことが重要
- 新NISAの非課税メリットを活用すれば、税金分も再投資に回せて効率的
- eMAXIS Slim 全世界株式やS&P500連動ファンドなど、低コストのインデックスファンドが複利運用に最適
「投資は難しそう」と感じる方も、月1万円からの積立投資なら始めやすいはずです。複利効果は時間を味方につけた人ほど大きな恩恵を受けられます。まだ始めていない方は、新NISAを活用して今日から一歩を踏み出してみましょう。

