オルカンは円高でどれだけ下がる?為替影響を前提つきでシミュレーション

NISA・つみたて投資

オルカン(eMAXIS Slim全世界株式)が円高局面でどれだけ下落するか、気になっている方は多いのではないでしょうか。「せっかく積み立てたのに、円高で基準価額が下がってしまうのでは」という不安は、投資初心者にとって切実な問題です。

この記事では、オルカンの為替影響を具体的な数値とシミュレーションで解説します。最終的な投資判断はご自身でお決めください。また、オルカンには元本割れリスクがあります。

  1. オルカンと為替リスクの基本
    1. オルカンは「為替ヘッジなし」のファンド
    2. 為替変動が基準価額に与える影響のメカニズム
    3. こういう人にとって為替リスクは大きい
  2. 円高が進むとオルカンはどれだけ下がる?独自シミュレーション
    1. 前提条件
    2. 【シミュレーション1】円高10%・20%・30%の場合の影響
    3. 【シミュレーション2】一括投資 vs 積立投資での実質的ダメージ比較
    4. 【シミュレーション3】20年積立の場合、為替は最終リターンにどう影響するか
  3. 過去の円高局面でオルカンはどうなったか
    1. 2022〜2023年:急速な円安後の円高リスク
    2. 2024〜2025年:160円台から120円台への急速な円高
    3. 「株高・円高」は同時に起きることもある
  4. 円高リスクを和らげる3つの方法
    1. 1. 長期・毎月積立でリスクを平準化する
    2. 2. 「売る前提」の時期に近づいたら為替リスクを意識する
    3. 3. オルカンの代替・補完として為替ヘッジありファンドを一部組み合わせる
  5. オルカン vs S&P500:円高の影響に差はある?
    1. 米国集中度の差
    2. 新興国を含むオルカンは通貨分散の効果がある
    3. 両方買う選択肢も
  6. 「円高でオルカンを売るべきか」よくある疑問
    1. Q:円高になったら一時売却すべきか?
    2. Q:オルカンを買い増すチャンスになる?
    3. Q:eMAXIS Slim 全世界株式のデメリットが気になる場合は?
  7. まとめ:円高リスクを正しく理解してオルカン投資を続けるために

オルカンと為替リスクの基本

オルカンは「為替ヘッジなし」のファンド

eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)は、原則として為替ヘッジを行わないファンドです。三菱UFJアセットマネジメントの公式情報によれば、MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス(配当込み・円換算ベース)に連動する投資成果を目指して運用します(三菱UFJアセットマネジメント公式)。

つまり、円高が進むと円建ての基準価額が下落する要因になります。逆に円安が進めば基準価額は上昇しやすくなります。

為替変動が基準価額に与える影響のメカニズム

たとえば、1ドル=150円のときに購入した米国株式が、1ドル=120円(約20%の円高)になった場合、仮に株価(ドル建て)が変わらなくても、円換算では20%目減りします。オルカンの約60%超は米国株式ですので、ドル円の動きが最も基準価額に影響を与えます。

オルカンの地域別組入比率(2024年時点の参考値)は以下の通りです:

地域 組入比率(目安) 主要通貨
米国 約62% 米ドル(USD)
日本 約6% 円(JPY)
欧州(英・仏・独等) 約15% ユーロ・ポンド等
新興国 約11% 人民元・インドルピー等
その他先進国 約6% カナダドル等

日本株式(約6%)は円建てのため為替影響を受けませんが、それ以外の約94%は外貨建て資産です。

こういう人にとって為替リスクは大きい

  • 短期(1〜3年以内)での売却を予定している
  • 円高局面で精神的に不安になりやすく、売却衝動が生じる
  • 積立金額が大きく、含み損の絶対額が心理的負担になる

逆に、20年以上の超長期で積み立てる場合は、為替変動は「短期ノイズ」として吸収されやすいとされています。ただし、リターンを保証するものではありません。

円高が進むとオルカンはどれだけ下がる?独自シミュレーション

前提条件

以下のシミュレーションは、株価(ドル建て)が変動しないという条件を固定し、円高のみの影響を計算したものです。実際の運用では株価変動と為替変動が同時に起こるため、実際の結果はこの通りにはなりません。あくまで参考値としてご覧ください。

【シミュレーション1】円高10%・20%・30%の場合の影響

ドル円レート変化 変化前 変化後 為替による下落率(目安)
円高10% 150円/ドル 135円/ドル 約▲9%(外貨比率94%×10%)
円高20% 150円/ドル 120円/ドル 約▲19%(外貨比率94%×20%)
円高30% 150円/ドル 105円/ドル 約▲28%(外貨比率94%×30%)

※あくまで「為替のみが変動し、株価は変わらない」という仮定の概算値です。実際は株価も同時に動くため、プラスにもマイナスにも乖離します。

【シミュレーション2】一括投資 vs 積立投資での実質的ダメージ比較

仮に2025年4月に150円/ドルで一括投資した後、同年9月に120円/ドルまで円高が進んだ(約20%円高)ケースを想定します。

投資方法 投資額 円高▲20%後の評価額目安 為替影響
一括投資(150円時に100万円) 100万円 約81万円 ▲19万円(約▲19%)
毎月積立(月10万円×6か月) 100万円合計 約87万円前後 ▲13万円前後(約▲13%)

毎月積立(ドルコスト平均法)の場合、円高期間中も積み立て続けることで購入単価が平準化され、一括投資に比べてダメージを抑えられる傾向があります。ただし、これも保証ではありません(参考:ドルコスト平均法のメリット・デメリット)。

【シミュレーション3】20年積立の場合、為替は最終リターンにどう影響するか

月3万円を年利4%(税引前・為替影響除く)で20年積み立てた場合の試算:

条件 積立元本 20年後の評価額目安
為替影響なし(参考値) 720万円 約1,100万円
20年で円高20%(緩やかに進行) 720万円 約880万円〜950万円
20年で円安20%(緩やかに進行) 720万円 約1,300万円〜1,400万円

※年利4%は過去のMSCI ACWI(円換算)の長期平均を参考にした仮定値です。将来のリターンを保証するものではありません。元本割れの可能性があります。

20年という長期では、株価成長と円高の影響が打ち消し合う局面も多く、一時的な円高だけで成否は判断できません。ただし、退職直前・売却直前の急激な円高は大きなリスクになり得ます(タイミングリスク)。

過去の円高局面でオルカンはどうなったか

2022〜2023年:急速な円安後の円高リスク

2022年は1ドル=115円前後から約150円まで急速に円安が進み、オルカンの円換算リターンを大きく押し上げました。逆に言えば、この局面で取得した資産は、円高に転じると大きな評価損が発生するリスクを内包しています。

2024〜2025年:160円台から120円台への急速な円高

2024年から2025年にかけて、一時1ドル=160円を超えた後に120円台まで急速に円高が進む局面がありました。SBI証券の市場レポートによれば、この期間に株価自体は回復しましたが、ドル円の変動が基準価額を大きく左右しました(SBI証券レポート)。

「株高・円高」は同時に起きることもある

重要なポイントは、「円高だから必ずオルカンが下がる」とは言い切れない点です。円高局面でも米国株やグローバル株が大きく上昇する場合、両者の影響が相殺されることがあります。為替だけを見て投資判断するのは危険です。

円高リスクを和らげる3つの方法

1. 長期・毎月積立でリスクを平準化する

円高局面では多くの口数を購入でき、その後株価が回復したときに恩恵を受けやすいという特性があります(ドルコスト平均法)。焦って売却せず、積立を継続することが基本です。ただし、長期積立でも元本割れリスクはゼロではありません。

詳細はこちら:ドルコスト平均法のメリット・デメリットをわかりやすく解説

2. 「売る前提」の時期に近づいたら為替リスクを意識する

退職・住宅購入など、10年以内に資産を取り崩す予定が具体化したら、徐々に円建て資産(日本債券ファンド等)にシフトするという方法があります。売却直前の円高リスクを分散するためです。

3. オルカンの代替・補完として為替ヘッジありファンドを一部組み合わせる

為替ヘッジ付きのファンドを一部組み合わせることで、円高局面のダメージを抑えられます。ただし、ヘッジコスト(日米金利差)がかかるため、コスト面を理解した上で判断しましょう。

オルカン vs S&P500:円高の影響に差はある?

米国集中度の差

S&P500連動ファンドは100%米ドル建てのため、円高の影響がダイレクトに全額に及びます。オルカンは日本株(約6%、円建て)を含むため、その分だけ円高の影響が若干和らぎます。ただし差は小さく、実質的には両者ともドル円の動きに強く連動します。

詳しい比較はこちら:オルカン vs S&P500 どっちがいい?比較

新興国を含むオルカンは通貨分散の効果がある

オルカンはユーロ・ポンド・人民元など複数通貨に分散投資しています。ドル一極集中のS&P500と比べると、ドル円以外の通貨リスク・通貨恩恵も一定程度取り込む構造です。ドル一強局面ではS&P500有利、ドル安・非米国通貨高局面ではオルカン有利になりやすい傾向があります。

両方買う選択肢も

オルカンとS&P500を両方購入している方もいますが、両者の相関が高いため、為替リスクの分散効果は限定的です。詳細はこちら:オルカンとS&P500は両方買うべき?最適な割合とポートフォリオ例

「円高でオルカンを売るべきか」よくある疑問

Q:円高になったら一時売却すべきか?

基本的には推奨されません。「どこで底を打つか」「いつ円高が収まるか」を正確に予測するのは、プロの投資家でも困難です。売却・再購入によって売買タイミングを誤ると、損失を確定させた上に回復局面を逃すリスクがあります。

ただし、以下の場合は売却を検討する余地があります:

  • 具体的な資金使途(住宅購入・教育費等)が数年以内に確定している
  • 含み損が生活に支障をきたす水準に達している
  • ポートフォリオのリバランス上、売却が合理的と判断できる

最終的な投資判断はご自身でお決めください。元本割れのリスクがあります。

Q:オルカンを買い増すチャンスになる?

円高局面では同じ購入額でより多くの口数を取得できるため、長期投資家にとっては積立を継続・増額するチャンスという見方もあります。ただし、「円高がさらに進む」「株価も下落する」という複合リスクがある点を忘れてはなりません。将来のリターンは保証されません。

Q:eMAXIS Slim 全世界株式のデメリットが気になる場合は?

オルカン全般のデメリットについては、別記事で詳しく解説しています:eMAXIS Slim全世界株式の評判とデメリット|買ってはいけない人の特徴

まとめ:円高リスクを正しく理解してオルカン投資を続けるために

この記事のポイントをまとめます。

  • オルカンは為替ヘッジなしのファンドであり、円高局面では外貨建て資産の円換算価値が下落する
  • 外貨比率は約94%のため、円高10%で約9%、円高20%で約19%の為替影響を受ける(株価変動なしの仮定)
  • 毎月積立(ドルコスト平均法)は、一括投資に比べて円高局面のダメージを平準化しやすい傾向がある
  • 20年以上の長期では、為替と株価の変動が相互に作用するため、為替だけで損益は判断できない
  • 売却予定が数年以内に具体化したら、円高タイミングリスクを意識したリバランスを検討する

重要:本記事の数値はすべて参考・試算値です。将来のリターンを保証するものではなく、元本割れリスクがあります。最終的な投資判断はご自身でお決めください。

制度・数値の参照先:金融庁 NISA特設ウェブサイト三菱UFJアセットマネジメント eMAXIS Slim公式SBI証券 市場レポート

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